”川辺の家01”

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  Plan
   
    kawnabe house01  
 
 

■敷地

 枕崎市と川辺の境にあるこの敷地は、北に茶畑が広がり近隣民家が視界の中にはなく、南面は、5mほどの傾斜の上に杉林が広がり、視覚的にも遮断され季節の移り変わりを感じることが出来るところが敷地のもつ特性となっている。西面には舗装道路があるが、車の通り非常に少なく静かなものである。
  敷地がもつこれらの特性のからも、南面や北面の自然を大きく建築物に取り込むことで、豊かな空間が創造できるのではなかろうか。

■X軸Y軸からの脱却

多くの建築は敷地の制限により平面計画上、X軸Y軸にそって有効に面積を使うのである。しかし、それは平面の単調さや、機能一点張りの計画になってしまいがちであり、空間と空間を明快に分けてしまうこととなる。それは、住宅のなかでは、プライベートがしっかりと守られ、一見聞こえが良いようだが、”家族”としての人間関係をも分けてしまう可能性も同時に考えられる。
 この住宅では、X軸Y軸を捨て去る(150°振っています)ことで、居間から夫婦寝室までの空間があいまいな関係であるが、そのあいまいさが、家族のプライベート、非プライベートの間での接点としての役割をつくりだしている。お互いの存在を感じながら、また、”共に暮らす”ことを感じながら生活することで、”家族”としての場が発生するのではと考えた。

■生活

日常生活のなかで、人は他人と同じ行動をしているわけではない。会社も違えば考え方もまったく違う。これは、人が”住まうこと”についても、まったく違ったものであると考える。そこに住む生活者の”すまうこと”を捜すことで、その人にとっての生活のしやすい住宅が提案できると考えた。
 今回の依頼者は、夫婦とも茶工場に勤務し、お茶の生産を行っている。1回目の打ち合わせで施主(クライアント)は、お茶の葉にまみれた体を、タオルでぬぐいながら現れた。クライアントにとって”すまうこと”とは、どのようなものであろうか。

■提案

 1・ 居間から寝室までの動線を明確に分けるのではなく、どこかで夫婦、子供がお互いの存在を感じられる住宅にすること。

 2・東西南北に広がる自然環境を内部に取り込むこと。それは視界に自然が見えるといったことだけではなく、風や光が部屋の中を通りぬけていくことを考えたものです。

 3・南東に開いた浴室をつくること。仕事でお茶の葉にまみれた体を玄関から入ることなく浴室にアクセスでき、体を流すことができる。単に浴室がある住宅と違って、湯につかりながら外の景色をながめられる。それは、夜空に光る星や月をのんびりとした気分で
楽しめるといったことを考えた。

 4・子供部屋は、現状では間仕切らない。子供さんはまだ幼稚園と保育園児の男の子で、遊び部屋として作っておき、大きくなったときに間に壁をつくる。子供が大きくなり家を離れたときには、間仕切りをとり趣味の部屋にすることもできる。


データシート
夫婦+子二人
延床面積 135.670u(41.04坪)

text by toi

 
 

 

 

 

 

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