環境共生住宅_2002__toi
2002/04/13 
 


Concept(コンセプト)

 鹿児島の都市景観においても重要な要素を占める「住宅」を、環境共生の観点から考察することは、気候、風土といった”自然環境”を越えた視点で”環境”を見つめるためにも必要である。


建築物の老朽化。無秩序の建築物の集積と化した現代都市において、既製の「住宅」とはその経済性の観点から、結果的に、個人そして都市のアイデンティティを単一化していると考えられる。
現代社会が目指すべき「住宅」とは、自己のアイデンティティによって自然発生し、かつ、都市のアイデンティティを形成していく「住宅」であると考えている。

半永久的な創造と解体を繰り返す「環境共生住宅」を提案する。 現代社会において、建築とはすなわち「ゴミ」である。 そしてその「ゴミ」による都市の再構築は我々に課された永遠のテーマであると言える。

建築物のリサイクルの促進が叫ばれている現代社会において、我々が行うべき究極のリサイクルによる建築活動について考察する。

□建築廃材を利用し、セルフヴィルドによってストラクチャを形成していく。

 外壁・内壁は、極力使わず、建具による間仕切りとする。この建具こそ、今回の提案そのものである。建具は、アルミサッシなどを使用せず、木製サッシの間にワイヤーメッシュ状の袋が備わっており、住宅廃材や、燃えないゴミであるペットボトルなど、自分達で詰め込むことができる。これは、廃材利用といったことだけでなく、ゴミと思われていたものが突如、都市の輪郭をつくることになる。

このような木造住宅の廃材から出てきた、角材をセルフビルドによって住み手自身でコーディネートし詰めることで、ゴミとして扱われていたものに新たな可能性を吹き込むことができる。

セルフビルドが盛んな状況で住みて自身が社会に対して、都市環境、自然環境への視点が生まれることも、この提案のねらいとすることである。

□自らスケルトンをも構築していくことにより、建築物の自由度が高く、現代人の多様化するライフスタイルを受け入れる住宅こそ、愛着を持ち住みつづられる要因である。

スケルトンワイヤメッシュ自身は半透明なもので、中に入れたものが、建物の表情をつくる。これは、建物自身のファサードの面白さをねらったものではない。

 既製住宅の空間的貧困さは、住み手の愛着自身も失われ機能が時代とともにづれてくると、車のように買い換えたくなる。現代社会において、自分をとりまく”物”自身に愛着を感じ、それを家のなかに所狭しと飾られる。住み手も年とともにその好みも変わるならば、建築自身も変わることができても良いのではないだろうか。

このスケルトンワイヤーメッシュのなかに、お気に入りのものをつめて、生活できるライフタイルができれば、おのづと長く住むことができる。

B1サイズ
Design by toi